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水産開発事業の企画・運営・技術者派遣・研修業務/株式会社国際水産技術開発
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ボリビア国、チチカカ湖おけるニジマス養殖
JICA技術協力:1991年~1998年)

JICAは、ボリビア国からの要請に基づき、チチカカ湖周辺地域を含むアンデス山脈東部に広がる標高 4000m前後の高原台地(アルティプラーノ)でのニジマス養殖開発に協力するため、1977年から個別専門家の派遣を始めた。その後、1982年からは青年海外協力隊も加わり、同地域農漁村を対象に、ニジマスの小湖沼への放流、網生簀・素堀池でのニジマス養殖の技術指導・普及を行ってきた。

これら活動を促進するため、ボリビア国政府は無償資金協力を要請し、1988年チチカカ湖岸に水産開発研究センターが建設された。同センターの設立の目的は、「アルティプラーノの水産業開発に貢献する施設として機能する」ことであり、年間50万尾の種苗
16トンの食用魚の生産という数値目標が挙げられていた。そして、センターにおける生産および調査研究業務をより効果的に発展させるため、5年間のプロジェクト方式技術協力が1991年から実施されることになった。「地域水産開発研究施設としてのセンターの機能強化」と「有用魚種の増養殖技術普及」の2つをプロジェクト目標に、以下8項目の活動について協力が行われた。
 
1. ニジマスの安定種苗生産技術の開発
2. 配合飼料の開発
3. 小湖沼の環境・資源調査、小湖沼へのニジマス放流と追跡調査および放流結果の解析
4. 在来魚種の生態調査
5. 水産加工試作品の開発
6. ラパス市におけるニジマス需給量に関する水産統計調査
7. チチカカ湖での定点環境調査
8. 農漁民への水産技術指導

1995年12月のプロジェクト終了時評価では、各項目における達成度が評価され、達成度の低い項目に対してさらなる協力が必要であるとして、生産分野における種苗生産の効率化、調査分野における小湖沼放流調査結果分析、放流技術への応用および普及に絞られ2年間のフォローアップを実施することになった。

1998年には合計7年間のプロジェクト方式技術協力が終了した。これにより、センターの地域水産開発研究施設としての機能が強化され、ニジマス養殖を普及させるための種苗の安定的生産体制が整備された。

1988年JICA無償資金協力でチチカカ湖岸に建設された水産開発研究センター
センターの協力で開始された漁民によるニジマス養殖

チチカカ湖の概況

ボリビアとペルーの国境に横たわるチチカカ湖は、琵琶湖の12倍の面積(8,562km2)と3,810mの高度を持つ。湖水面は両国でほぼ2分
されている。水温は、11~17℃と年間を通してさほど変化がない。湖水は、海水の1/10程度の塩分を含有している。最高水深は280mを超える。

湖岸にはチチカカ湖固有種であるトトラと呼ばれるカヤツリグサ科の注水植物が繁茂している。この植物は、これで舟を作るほか、家畜の餌に使ったり、根元の部分は子供達のおやつになったり用途は広い。
 
湖内にはいくつか島がある中でも太陽の島にはインカ時代の遺跡があり、観光地となっている。また、その近くの湖底にも遺跡がある
とのことである。
 
チチカカ湖の魚
 
チチカカ湖の在来種の一番大きなグループは、メダカ目の
Orestia属である。この属はチチカカ湖だけでも約20種存在すると言われているが、交配種も多くその種類数には諸説ある。さらに、ナマズ目Trichomycterus属の2種が存在する。

外来種としては、ニジマス(Oncorhynchus mykiss)とペヘレイ(Basilichthys bonariensis)があり、前者は1940年前半に、後者は1950年代半ばに移植された。

ボリヴィア国内の漁獲量は、1994年の国立水産局の統計によると5,970tで、その内チチカカ湖のあるラパス県からのものは2,606tであ
る。その内訳は、ペヘレイ785t、イスピー(Orestia ispi)925t、カラチ(O. agassi, O. luteus等の総称)660t、ニジマス86t、その他150tとなっている。ボリヴィアでの魚類養殖は緒についたばかりであり、その中でもニジマスが最も多く生産されており、同統計によると年間517tである。
 
農漁村の生活

湖の周辺に住む人々は、アイマラ族と呼ばれる人達で、未だインカ時代の伝統的農法で、アンデス高地原産であるジャガイモ、トウモ
ロコシなどを、主に自給のために栽培している。漁業は、動物タンパクの補給と僅かな現金収入を得るために細々と行われている。主な漁法は刺網である。以前は、トトラで作ったアシ舟で漁をしていたとのことである。幹線道路沿いでは、輸送業、商業、観光業などで現金収入を得ている人もいる。

チチカカ湖内に浮かぶ小島では、農耕地及び放牧地が少ないため、漁業に大部分を依存している村もある。そういう村では、観光用のトトラ舟や現在使われている木造の帆船などの造船が盛んである。

家屋はアドベ(Adobe)と呼ばれる日干しレンガで作られるのが一般的だが、最近は穴あき焼きレンガの赤い壁の家が目立つようになった。また、屋根も萱ぶきからトタンへと変わりつつある。

彼らアイマラ族は、アイマラ語を使うが、公用語であるスペイン語も話すバイリンガルである。ただ、高齢になるとアイマラ語しかしゃべ
らない人もいる。

電気は湖岸ではすでに普及しているようであるが、上水道はまだ普及してなく飲料水は、湖の水を直接利用しているところが多い。各家庭のトイレは、母屋から少し離れたところに、穴を掘りアドベで囲いを作る簡単なもので、一杯になると埋めて違うところに作り直す。

普段はおとなしい高地民族であるが、祭りにかける意気込みはすごい。ブラジル・リオのカーニバルはあまりに有名だが、ボリビアでも
同じ時期カーニバルの祭りがあり、各地区の運営委員のような当番になると、1年間の現金収入以上をつぎ込むことになると聞く。
 
BY Yasushi HAMAMITSU

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