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水産開発事業の企画・運営・技術者派遣・研修業務/株式会社国際水産技術開発
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タイ国、水産資源開発研究計画
JICA技術協力:1988年〜1993年

プロジェクトの背景  

タイの海面漁業は年間200万トン以上、世界で10指にはいる生産量をあげている。海面漁業は国民への良質なタンパク質の供給、水
産物輸出による外貨の獲得などの面で重要な役割を果たしている。しかし同時に、過剰漁獲努力による資源や漁場の荒廃、漁業種間の漁場や資源をめぐる係争、近隣諸国との摩擦、零細漁民の経済的困窮、沿岸地帯の工業化や都市化による漁場環境の悪化など、多くの問題を抱えている。これらの問題を解決して漁業の維持発展を図るためには、漁業の体質を資源管理型漁業に切り替えていく必要があるが、そのためには、適切な漁業政策立案の基礎となる科学的情報の集積が必要である。そのような情報を得るためには、高度な海洋漁業研究能力が不可欠であり、海洋漁業研究機関の能力向上が緊急課題となっている。

プロジェクト実施にいたる経緯

タイ水産局はタイ沿岸を、中部、南部、東部、アンダマン海の4つの海区に分け、それぞれの海区に海洋漁業開発センターをおいて海洋漁業の調査・研究を行っている。東部海洋漁業開発センターは東部海域を担当する。無償資金協力で建設されたこのセンターの研究開発能力を向上させることを目的として、タイ政府はプロジェクト方式技術協力を要請してきた。要請に対してJICAは1986年11月 案件形成調査1987年10月 事前調査1988年1〜3月 長期調査と3回にわたる現地調査を実施し、1988年5月に水産資源研究開発プロジェクトを実施することおよびその実施方法について日・タイ双方が合意した。

東部海洋漁業開発センターの概要 

東部海域は総面積1万平方キロを超え、東端ではカンボジアとの国境に接している。この海域からはタイ海面漁業生産量の13〜15%が生産されていると推定される。東部海洋漁業開発センターは、管理・事務部門のほか、資源解析、漁業調査、生活史研究、漁具開発、海洋環境、漁場造成の6調査部門から構成されている。各部門にチーフのほか1〜3名の研究員が配属されている。プロジェクト開始時はこのうち4名が博士号(2名は日本で取得)、5名が修士号(1名が日本で取得)を持っており、個々人の研究能力はかなりレベルの高かった。しかし、海面漁業における調査研究の面ではレベルが高いとはいえず、上部から指示された調査課題について決まりきった方法で調査し、決まりきった報告書を作成してことたれりとする風潮が支配的だった。


共同研究の内容

タイの水産統計や研究所所属の調査船が収集した漁場調査データを解析し、東部海域における各種漁業の漁獲量変化、漁獲物組成変化について検討して東部海域における漁業の特性やエビの資源状態を把握した。
東部沿岸各地の水産物水揚場における漁獲量調査や魚体測定調査のデータを解析して、水産生物の生活史や漁具選択性などを把握した。
ゴマフエダイ、ミミガイの種苗生産技術を開発し、種苗法流、放流種苗の追跡調査を行った。
原子吸光分光光度計、ガスクロマトグラフィーなどを使って海水中の水銀濃度、農薬濃度を測定する技術を導入し、東部海域の水質調査を行った。
研究所の研究報告集を刊行し、共同研究で得られた結果を論文にして発表した。
セミナーを開催し、研究成果の発表や他の海洋漁業研究機関との意見や情報の交換を行った。

プロジェクトの成果

タイ水産資源開発研究プロジェクトの主要な成果としては、タイ研究員の能力向上、センターの研究施設の充実、国内外の研究機関との交流能力向上の3点があげられる。
研究員の能力向上の面でははっきりと自分の専門分野を持ち、より活発に研究に取り組むものが多くなった。しかし、野心、向上心、知的好奇心といったものには大きな個人差があるので、全ての研究員の能力が同じように向上したわけではない。
研究設備の面では、化学分析機器、生物学的観察機器、資源調査機器、
OA機器などが充実し、データの量や質が向上した。
他研究機関との交流能力は、セミナー開催、研究報告集の発行、種苗生産・化学分析・統計手法などに関するマニュアルの刊行を通じて向上した。日本の大学や水産研究所とのつながりは短期専門家の招請や研修人の派遣を通じて強くなった。


by Hiromu IKENOUE

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