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水産開発事業の企画・運営・技術者派遣・研修業務/株式会社国際水産技術開発
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ラオス人民民主共和国
ラオス養殖改善・普及計画フェーズ2
JICA技術協力:2005年〜2010年

1.ラオス国の概要

ラオス国はインドシナ半島中央部に位置した内陸国です。国土の北部と東部は山岳地帯で西部はメコン川流域の平野地帯となっています。主要産業は農業で国民の8割が農業に従事しているといわれます。また主な輸出品目は水力発電による電力や木材ですが、近年では観光による収入も多くなっています。
首都ビエンチャンの町並み。2006年度GDP成長率は8%で近年発展が著しい。 世界遺産の町ルワンババーン毎年多くの観光客が訪れます。

2.プロジェクト要請の背景

ラオス政府は、持続的な経済成長を目指すため農山村部における貧困の緩和を最優先にして取り組んでいます。とくに農業分野を開発することによる貧困緩和と食料安全保障確保に力を入れています。

 国の食糧安全保障および国民の栄養水準向上の観点から、ラオス政府は国民一人当たりの水産物供給量を2020年までに20-23kg/年へと増加させることを目指しています。とくに農山村部では住民の健康状態の改善、生活の安定などの面で、水産物供給量を増加させることが急務となっています。
ラオス北部ウドムサイ県ホワイクム村の養殖池。一般的に農家では複合農業が営まれており、養殖は重要な食料源となります。 池を干して魚を取り上げる人たち。乾季になるとよく見かける光景。魚はラオス人が最も好むタンパク源です。
3.ラオス養殖改善・普及計画フェーズ2の目的

ラオス養殖改善・普及計画フェーズ2(以下、AQIP-2)は2005年から2010年までの5年間の技術協力プロジェクトで、ラオス4県8郡68村を対象としています。プロジェクトの目的は貧困や食糧確保の問題を抱えるラオスの農村地域を対象として、立地条件に適合した養殖手法の普及をはかることを目標としており、小規模農民の営農改善に寄与することが期待されています。すなわち、「より良い養殖の普及を通じた、より良い農村造り」を支援することです。

また、当プロジェクトは、2001年から2004年にかけて実施された前身プロジェクトAQIP-1の成果を十分に活用して実施しています。
養殖池で水生生物を採る女性たち。養殖池は魚だけでなく、水生昆虫、タニシ、エビなど多様な食料をラオス人の食卓に提供します。 養殖魚を捕る少数民族の青年。現金収入の限られた農村地域で、養殖は重要な収入源になります。
4.活動内容

プロジェクトの養殖普及活動事業は大きく分けて以下の2つに分かれます。
1)パイロット事業(1年次〜4年次)
プロジェクト対象4県4郡12村を対象としています。各村の約10農家を対象として地域の特性にあった養殖技術と普及方式を実証します。
2)普及展開事業(2年次〜5年次)
パイロット事業12村に4郡56村を加え、各村の約10農家を対象としてパイロット事業の成果を活用して普及展開事業を実施します。

対象村では各養殖農家に技術支援をおこなうだけでなく、養殖グループを組織してその中で知識や経験を共有しながら幅広い効果を狙っています。このグループの中で特に高い技術を得た養殖農家や種苗生産農家は、他の農家へ養殖技術指導ができるよう、さらに研修を施します。これにより、この養殖農家が近隣村で種苗の販売と共に養殖技術の指導が可能となり、これが点から線への波及効果、すなわち「Farmer to Farmer(農家から農家へ)」の始まりとなります。

AQIP-2では村の養殖農家に限定した養殖普及活動だけでなく、村の女性同盟や、小学校、孤児院などが行うグループ養殖の指導も行い、養殖池を持っていない農家や子どもを介した裾野の広い普及活動を目指しています。

対象県の県や郡のスタッフと年間計画の打ち合わせを行っているところ。2ヶ月1回、巡回指導チームを組織してこのような打ち合わせを行います。 対象村の養殖農家に技術指導をおこなう巡回指導チーム(右側)。村では県や郡職員と共に、直接指導を行っています。 対象県村で養殖技術ワークショップを行っているところ。この教材の作成もプロジェクトの重要な仕事のひとつです。
養殖技術研修でホルモン接種を教えているところ。比較的技術のある養殖農家を対象に2週間の技術研修を行いました。 農家対象の視察研修の風景。説明しているのはAQIP-2の研修により養殖技術の指導ができるようになった農家。将来的にはこのような先駆的農家が種苗の販売と共に養殖技術を広めることが期待されます。 魚の収穫をおこなう女性同盟メンバー。女性同盟に養殖方法を指導し、女性同盟は養殖を始めました。現在、多くの女性同盟が養殖により基金をふやすことに成功しました。また、養殖経験のない人も養殖技術を学べる場として利用されています。
by Kosuke SANO

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